物書きがGGJに参加してそれなりに忙しくて充実してた話
気づけばこのブログもずいぶんサボり気味でした……
札幌会場のポスター
「48時間以内にゲームを作ろう!」GlobalGameJam2014札幌会場 - Kawaz広報ブログ http://kawazinfo.hateblo.jp/entry/2013/12/24/153220
私は日頃からゲームを作っているのですが、主にアドベンチャーゲームやノベルアプリが主で、作っているのはテキストを使ったいわゆる「静的なゲーム」です。
このようなゲーム制作イベントやハッカソンは、シューティングやアクションなど「動的なゲーム」が主(というかほとんど)で、シナリオのないものばかり(48時間で作るゲームにはシナリオを載せる余地はないというのもある)。
ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを作るシナリオライターの出番がないことがほとんど。
普段の領分から言えば、こうしたイベントには縁がありません。
参加してもなにもできずにウドの大木と化し、プログラマの方やデザイナーの足を引っ張るのでは……という懸念がやはりありました。
しかしこのイベント、終わってみれば忙しくしかし充実した3日間でありました。
ライターとして世界観構築や設定を作ったから?
もちろんそれも行いましたが、メインの仕事はそんなことではありませんでした。
多かったのは、サーヴァントとしての仕事です。
サーヴァントってどういうこと?
「問おう。あなたが私の……」
……そのサーヴァントじゃなくて!
サーヴァントってどういうこと? Take2
……気を取り直して。
サーヴァントというのは「使用人」とか「召使い」という意味です。
「サーバント×サービス」という漫画がありますが、まさに同じ意味合い。
私が参加したチームのリーダーである@giginet曰く「スーパー雑用」というポジションで参加しました。
スーパー雑用って、飲み物買ってくるとか焼きそばパン買ってくるとか?
違います! 雑用係ですがパシリではありませんw
ゲーム制作における「スーパー雑用」というのは、プランナー的な役割です。
「48時間以内にゲームを作る」というと参加したことのない方はピンと来ない時間かと思いますが、なかなかどうして忙しいものです。
ゲーム開発でプランナーの仕事というと、企画を考えて企画書を作り、予算を持ってきて……ということをイメージされる方も多いでしょう。
しかしGGJでは企画書を作る暇はありません。ゲームの企画もチームメンバー全員で考えます。もちろん作るゲームにはシナリオ自体ありませんから、シナリオも書きません。
では私はなにをしたのか?
ゲーム開発における「スーパー雑用」の仕事を、実際に私が行ったタスクを例にとって紹介します。
スーパー雑用の仕事その1「記録係」
48時間以内にゲームを作らなければいけない状況下においては、仕様を削りに削って、ゲームとして成り立つものを作るだけで結構いっぱいいっぱい。
プログラマーもデザイナーもコンポーザーも、自分の領域の仕事をするだけで精一杯。
しかしゲーム制作においては、様々な雑用が発生します。
例えば企画を話し合う課程において、仕様や作るゲームの状況は目まぐるしく変わります。
「載せることが決定したこと」「できれば載せたいけど今は考えている余裕がないから、時間ができたら載せたいもの」「さかんに話していたけど没になった仕様」などなど、あのとき話していたあの項目がどれにあたるのか、それがしっちゃかめっちゃかになりがちです。
特に48時間でゲームを作るGGJのようなイベントでは、前述した通りメンバーは自分の領域で手一杯です。
しかし誰かが「最新版の仕様」を把握してドキュメントとして常に更新していなくては、家に帰って寝ていたとか食事をしていたなど「数時間前の話し合いの場にいなかったメンバー」や「作業に集中していて話し半分でしか聞き取れなかったメンバー」が仕様を正しく把握することができません。
スーパー雑用の仕事その2「ゲームプログラミングに使う素材加工解説」
プログラマとデザイナーのやりとりを補完する役割です。
もちろん「どんな素材を何ピクセル四方で――」など具体的なやりとりは彼らが直接行いますが、例えば「画像はスプライトで出すから、20で割り切れるようにピクセルを設定して」とプログラマがグラフィッカーに対して言います。
この時点でプログラマの頭の中にはもらう素材の内容があるわけですが、この一言だけでは、グラフィッカーには伝わっていません。
プログラミングをしたことがあって覚えのある方もいるかとは思いますが、プログラムを集中して書いているときはあまり話しかけてもらいたくないもの。
そこでプログラマの代わりに、ゲームプログラミングで用いる「スプライト」 の概念を私が伝え、具体的にどのような素材のカタチにすればよいのかを把握してもらっていました。
(プログラマ並みである必要はありませんが)そのゲームで使う技術を把握しておいて、プログラマの代わりに何を言わんとしているのか翻訳(?)する役割です。
スーパー雑用の仕事その3「ゲームの全容を把握・イメージして、必要な素材をリストアップする」
このゲームは全部でいくつの画面で構成されているのか、各画面でどのような動きをするのか、各画面でグラフィック・サウンドファイルはどんな種類でいくつ必要になるのかを俯瞰して整理するのもスーパー雑用の仕事でした。
チームリーダーやメンバーの影になる
その他、優れたレベルデザイナーを他チームから引っ張ってくるために一時的トレードされたり
つなさんとhakくんを期限付きトレード #ggjsap
— Yuki_GGJ@札幌9班 (@YukiGGJ) 2014, 1月 26
@yuki_mm @tatsuki_maki もうつなさんは返して貰います!!!!! #ggjsap
— ぎぎにゃん (@giginet) 2014, 1月 26
@giginet @yuki_mm !?つなくん手伝ってくれてたの!Σ(゚Д゚*)ありがたや!
— 真希/あをに (@tatsuki_maki) 2014, 1月 26
@yuki_mm つなさんは犠牲になったのだ・・・ #ggjsap
— ぎぎにゃん (@giginet) 2014, 1月 26
つなさん、略奪愛に巻き込まれる…? #ggjsap
— 平野 譲治+沖本 康史 (@arcrisuta) 2014, 1月 26
他チーム(アナログゲームを作る班)での作業
レポート記事のための写真撮影などもしていましたが、「役に立たずに手持ちぶさたになってしまうのではないか」といった懸念は杞憂に終わり、忙しくしかし楽しく働いていた記憶しかありません。
我々物書きの領域はシナリオやテキストを書くことであって、(フレーバーテキストや文章が大量に必要となるチーム・プロジェクトなら話は別ですが)その領域外である場合に、いかに他チームメンバーの影となれるか、自分が直接作った部分はないけどもどのようにチームを支えられるか、に専念していました。
そしてできあがったのは、こんなゲームです
「WaveWeaver」というタイトルで、iPhone向けのゲームです。
迫り来るカラフルな波に併せて自機の色を変化し、波をかわしていく、シンプルですがつい熱中してしまうゲームに仕上がりました。
発表会での反応も上々で、メンバー一同「神ゲーができた!」と自信を持って言えるゲームです。
後日、アプリとしてリリース予定ですのでお楽しみに!
おっと、当日の様子を紹介するの忘れていた!
最終日の発表会の様子がこちら。テーマについてもここで紹介されています。